子供の下肢痛-単純性股関節炎を中心に|山田整形外科医院|埼玉県ふじみ野市の整形外科

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子供の下肢痛-単純性股関節炎を中心に

単純性股関節炎について

単純性股関節炎(たんじゅんせいこかんせつえん)は、主に子供に発生する股関節の一過性の炎症です。この病気は、一時的なものであり、数週間以内に自然に治癒することが多いのが特徴です。特に3歳から10歳くらいの男児に多く発症し、軽度から中等度の痛みを伴うことがあります。単純性股関節炎は命に関わる疾患ではありませんが、子供が歩行困難を訴えたり、片足を引きずるような場合には注意が必要です。

1. 単純性股関節炎の原因

単純性股関節炎の正確な原因は明らかになっていませんが、以下の要因が関与していると考えられています:

•ウイルス感染:風邪やインフルエンザなどの上気道感染症の後に発症することが多い。

•免疫反応:感染に対する体の免疫反応が過剰になり、股関節に炎症を引き起こす可能性があります。

•軽微な外傷:運動や遊びによる軽い衝撃や負担が関係している場合もあります。

2. 症状

単純性股関節炎では、以下のような症状が現れます:

•股関節の痛み

痛みは片側に現れることが多く、股関節の動きに伴って悪化することがあります。

•片足を引きずる、または歩行困難

子供が歩く際に片足を引きずる、または動きたがらないことがあります。

•太ももや膝の痛み

痛みが太ももや膝に放散することがあり、股関節が原因だと気づきにくい場合もあります。

•股関節の可動域制限

痛みにより股関節を自由に動かすことが難しくなります。

•軽度の発熱

発熱を伴う場合がありますが、高熱になることはまれです。

3. 診断

単純性股関節炎は、問診や身体診察、画像検査を組み合わせて診断されます。

(1) 問診と身体診察

•痛みの発症時期や症状の経過について聞きます。

•股関節の可動域や圧痛の有無を確認します。

(2) 画像検査

•X線検査:他の疾患(骨折やペルテス病など)を除外するために行われます。

•超音波検査:股関節に液体がたまっている(関節水腫)場合に確認されます。

(3) 血液検査

•炎症や感染の有無を確認するために行われます。ただし、炎症反応は軽度であることが多いです。

4. 治療法

単純性股関節炎は、一過性の疾患であるため、治療は主に症状の緩和を目的とします。

(1) 安静

•痛みがある間は、股関節を安静に保つことが重要です。過度な運動や無理な歩行を避けます。

•症状が軽減したら、徐々に通常の活動を再開します。

(2) 薬物療法

•非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用いて痛みや炎症を緩和します。市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)も有効です。

(3) 経過観察

•通常は1~2週間で症状が改善します。

•痛みが続く場合や、症状が悪化する場合は再度医師に相談します。

5. 他の疾患との鑑別

単純性股関節炎と似た症状を引き起こす疾患がいくつかあります。これらの疾患を正確に区別するため、診断は医師に任せることが重要です。

•ペルテス病:大腿骨頭の血流不足による骨壊死が原因。症状が長期化する。

•大腿骨頭すべり症:思春期の子供に多く、股関節の変形が進行する可能性があります。

•化膿性股関節炎:細菌感染による炎症で、発熱や激しい痛みを伴い、緊急治療が必要です。

6. 自宅でできるケアと予防

(1) 自宅ケア

•子供が痛みを訴えた場合は、無理に動かさず安静を保たせます。

•湿布や温熱療法で痛みを和らげることができますが、適応は医師に確認してください。

(2) 再発予防

•特定の予防策はありませんが、風邪などの感染症を予防するため、手洗いやうがいを徹底しましょう。

•運動や遊びの際に過度な負担をかけないように注意します。

7. 病院を受診するタイミング

以下の場合には、速やかに医療機関を受診してください:

•痛みが強く、数日経っても改善しない場合

•高熱や股関節の腫れを伴う場合

•歩行が困難な場合

8. まとめ

単純性股関節炎は、子供に多い一時的な股関節の炎症ですが、適切な治療とケアにより短期間で治癒することがほとんどです。一方で、他の疾患との鑑別が重要であり、痛みや症状が続く場合は早めに医師の診察を受けることが推奨されます。早期対応により、子供の健康な成長をサポートすることが可能です。