骨端症は、成長期の子どもに多く見られる骨の成長軟骨部分(骨端)が壊死や炎症を起こし、痛みや関節の機能障害を引き起こす疾患の総称です。骨端症にはオスグッド・シュラッター病(膝)、セーバー病(足)、ケーラー病(足の舟状骨)などが含まれます。症状が進行するとスポーツや日常生活に支障をきたすため、早期の適切なリハビリ治療が重要です。
1. リハビリ治療の目的
•痛みの緩和
•症状の進行抑制
•関節の柔軟性維持と改善
•筋力の強化と関節周囲の安定性向上
•スポーツや日常生活への安全な復帰
2. リハビリ治療の流れと方法
① 急性期(症状が強い時期)
この時期は痛みや炎症を軽減し、患部を保護することが最優先です。
•安静
患部への過剰な負担を避け、痛みを引き起こす動作や活動を制限します。必要に応じて、固定具やサポーターを使用します。
•アイシング
1日2~3回、15~20分程度患部を冷却して炎症を抑えます。
•軽いストレッチ
痛みがない範囲で、関節周囲の筋肉を軽く伸ばします。たとえば、オスグッド・シュラッター病の場合、大腿四頭筋の軽いストレッチが有効です。
② 回復期(炎症が治まり始めた時期)
痛みが軽減したら、可動域の改善や筋力強化を目指します。
•可動域改善運動
•痛みが出ない範囲での関節の動きを促進する運動を行います。
•例えば、足首や膝関節を軽く動かす運動を繰り返し行うことで、関節の柔軟性を高めます。
•筋力強化運動
•等尺性運動: 筋肉を動かさずに力を入れる運動(例:大腿四頭筋やハムストリングスの収縮運動)を取り入れます。
•低負荷運動: ゴムバンドや軽い抵抗を使い、筋肉を徐々に強化します。特に、膝や足の安定性を高める運動が推奨されます。
•ストレッチ運動
筋肉の柔軟性を高めるため、太ももやふくらはぎ、足の裏のストレッチを行います。これにより、患部への負担を軽減できます。
③ 復帰期(機能回復と再発予防の時期)
日常生活やスポーツへの復帰を目指し、さらなる筋力強化と動作の改善を行います。
•動作指導
•正しい姿勢や動作を学ぶことで、患部にかかる負担を軽減します。
•スポーツ活動では、コーチや理学療法士と連携し、フォームの改善を図ります。
•バランス訓練
•バランスボールや片足立ち運動を取り入れ、患部を安定させるための筋肉(インナーマッスル)を鍛えます。
•特に足部の骨端症(セーバー病など)では、足のアーチを支える筋力を強化します。
•段階的なスポーツ復帰
•軽いランニングやジャンプ動作から始め、徐々に負荷を増やします。
•患部に過剰な負担をかけないよう、活動の量と強度を調整します。
3. 物理療法の活用
•温熱療法
血流を促進し、筋肉や腱の緊張を緩和します。特にリハビリ運動の前に行うと効果的です。
•超音波療法
損傷した組織の回復を促し、痛みを軽減します。
•電気刺激療法(EMS)
筋肉を刺激して筋力を強化し、患部へのサポート力を向上させます。
4. 予防とセルフケア
リハビリ後も再発を防ぐため、以下のポイントを意識します:
•適切なシューズの使用
衝撃を吸収するクッション性の高い靴を選びます。特に足部の骨端症では重要です。
•ストレッチと筋トレの継続
リハビリで行った運動を日常生活に取り入れ、筋肉の柔軟性と強度を維持します。
•活動の調整
成長期の激しいスポーツや過剰な運動量を控え、適切な休息を取ります。
まとめ
骨端症のリハビリ治療は、症状の進行を防ぎ、患部の機能を回復させるために重要です。急性期には安静と炎症の管理を優先し、回復期には可動域の改善と筋力強化、復帰期には動作改善と再発予防を目指します。専門家と連携しながら段階的にリハビリを進めることで、スポーツや日常生活への早期復帰が可能となります。また、成長期の子どもにとっては、適切な運動量と休息のバランスが再発予防に欠かせません。