ケルバン病(ド・ケルバン腱鞘炎)のリハビリ治療
ケルバン病(ド・ケルバン腱鞘炎)は、手首の親指側にある腱(短母指伸筋腱と長母指外転筋腱)を包む腱鞘が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる状態です。主に親指の使いすぎが原因とされ、特に育児や家事、スポーツ、PC作業を頻繁に行う人に多く見られます。治療の一環として、適切なリハビリが痛みの軽減や再発予防に重要です。
リハビリの目的
1.痛みと炎症の軽減
2.腱の滑走性(スムーズな動き)の改善
3.親指や手首の可動域と筋力の回復
4.再発防止のための使い方の見直し
リハビリの流れと内容
1. 炎症が強い急性期
目的: 炎症を抑え、痛みを軽減する。
•安静と固定:
•親指を含む手首を動かさないよう、装具(スプリント)やテーピングで固定します。
•日常生活で親指を使う動作(握る、持つ、ひねる)を極力避けます。
•アイシング:
•炎症や腫れを軽減するため、痛む部分を1回10~15分、1日数回冷やします。
•軽いストレッチ:
•痛みが許容範囲であれば、手首をゆっくり上下に動かす軽いストレッチを行います。
2. 痛みが落ち着き始めた回復期
目的: 腱の滑走性を改善し、筋力を徐々に回復させる。
•ストレッチ:
•手首の外転ストレッチ: 親指を反対の手で軽く引っ張り、腱を伸ばします(痛みが出ない範囲で)。
•手首の前後運動: 手のひらを上下にゆっくり動かします。
•腱の滑走運動:
•親指を軽く曲げたり伸ばしたりする動きを繰り返し、腱の滑りを改善します。
•筋力トレーニング:
•柔らかいゴムボールやハンドグリップを使用し、親指や手首の筋肉を少しずつ鍛えます。
3. 完全回復期(再発予防)
目的: 筋力と柔軟性を高め、日常生活で再発しないようにする。
•負荷を増やした運動:
•セラバンド(抵抗バンド)を用いた親指と手首の強化運動を行います。
•手のひらを上に向けた状態で軽い重りを持ち、手首を上下に動かすトレーニングを追加します。
•バランスの取れた使用:
•家事や育児での無理な姿勢を避け、手首や親指に負担がかからない動作を学びます。
•作業の合間に休憩を入れ、ストレッチを取り入れます。
注意点
•無理をしない: 痛みを我慢して動かすと症状が悪化する可能性があります。痛みが強い場合は医師や理学療法士に相談してください。
•継続的なケア: 痛みが収まっても、再発防止のために適度なストレッチや運動を続けることが重要です。
•作業環境の見直し: キーボードやスマートフォンの使用頻度を減らしたり、親指を使わずに済む代替作業方法を取り入れることも役立ちます。
まとめ
ケルバン病のリハビリは、痛みの軽減から筋力回復、再発防止まで段階的に進めることが重要です。リハビリを専門家と相談しながら正しく行うことで、手首や親指の機能を取り戻し、再び快適に日常生活を送ることができます。