足根管症候とは
足根管症候群の病態と治療 ― インソールとリハビリの役割
足根管症候群は、内くるぶしの後方にある「足根管」というトンネル内で脛骨神経が圧迫されることで生じる末梢神経障害です。足のしびれや灼熱感、夜間の痛みが特徴で、進行すると足底筋力の低下や歩行障害をきたすことがあります。
病態
足根管は屈筋支帯という靭帯に囲まれており、その中を脛骨神経と血管、腱が通過します。靭帯の肥厚、ガングリオン、静脈瘤、外傷による変形、過剰回内(足首が内側に倒れる状態)などが原因でトンネルが狭くなり、神経が圧迫されて症状が出現します。長時間の立位・歩行で悪化し、休息で軽減することが多いのが特徴です。
治療
保存療法が第一選択です。炎症や浮腫がある場合は安静やアイシング、鎮痛薬の内服を行います。また、圧迫の原因を取り除くために足部アライメントの補正が重要です。
インソールの役割
足根管症候群では、特に過剰回内が症状悪化に関与することが多く、足部の荷重バランスを整えるオーダーメイドインソールが有効です。内側アーチをサポートして足首の傾きを補正し、神経圧迫を軽減します。踵を安定させるヒールカップや、足底の適切な支点を与えるウェッジも有効な場合があります。靴選びも大切で、柔らかすぎず足をしっかり支えるタイプが望ましいです。
リハビリテーション
リハビリでは、足部や下腿の柔軟性を改善し、神経や腱の滑走を促すアプローチを行います。足趾や足底筋のストレッチ、ふくらはぎの筋緊張を和らげるマッサージ、神経モビライゼーション(脛骨神経の動きを改善する運動)が有効です。また、足底アーチを支える筋力(後脛骨筋や短趾屈筋など)を鍛えるトレーニングや、バランス改善のための運動療法も症状改善に寄与します。
手術療法
保存療法で改善しない場合や、筋力低下や強い神経障害が進行している場合は、屈筋支帯を切開して神経を開放する手術が検討されます。術後も再発予防のためにインソールやリハビリは継続されます。
足根管症候群の治療は、神経への圧迫を減らし、足部機能を整えることが基本です。インソールとリハビリを組み合わせることで、多くの症例は手術に至らず症状が改善しま