正中神経麻痺|山田整形外科医院|埼玉県ふじみ野市の整形外科

〒356-0004 埼玉県ふじみ野市上福岡5-1-23
上福岡駅 徒歩3
専用駐車場有

トピックス TOPICS

正中神経麻痺

◆正中神経麻痺(せいちゅうしんけいまひ)とは 正中神経は、腕から手首・手のひらにかけて走る主要な神経で、 親指・人差し指・中指の屈曲(握る動作)や、親指を広げる動き、手のひらの感覚 を担当しています。 この神経が障害されると、以下のような症状が現れます。 【主な症状】 • 母指・人差し指・中指がしっかり曲がらない(握力低下) • 母指が外側へ開きにくい(対立障害) • 親指〜中指のしびれ・感覚低下 • 物をつまむ動作がしにくい(ピンチ力低下) • 手のひらの母指球の萎縮 【原因】 • 手首での圧迫(手根管症候群が代表的) • 前腕での絞扼(円回内筋症候群) • 肘部での障害(回内筋の緊張など) • 怪我、骨折後の神経損傷 • 長時間の手作業・振動工具の使用 など 正中神経麻痺では、日常生活での細かな作業が難しくなることが特徴です。 ⸻ ◆リハビリ治療(理学療法) 治療は、神経の回復促進・筋力維持・動作能力の改善 を目的として行います。 ① 安静・負荷調整 • 手首の過度な屈曲作業(手根管への圧迫)を避ける • 痛みやしびれが強い時は無理に使用しない • 必要に応じて手首の装具(スプリント)を使用し安静を確保 ② 可動域訓練(ROM訓練) • 母指の対立運動(親指を小指に近づける) の練習 • 手指の屈曲・伸展の他動・自動運動 • 手首の屈伸運動をやさしく反復して関節の硬さを予防 ③ 筋力トレーニング 神経の回復段階に合わせて段階的に行います。 • 母指球筋の強化: ・親指と人差し指で輪を作る ・スポンジをつまむ • 指の屈曲筋のトレーニング: ・グリップボールの軽い握り込み ・ゴムバンドを使った抵抗運動 • 巧緻動作訓練: ・ボタン留め、洗濯バサミ、ペン回しなど ※痛みやしびれが増悪しない範囲で実施します。 ④ 神経滑走(ニューロダイナミクス) • 正中神経の走行に沿って、軽いストレッチと滑走運動を行い、 神経周囲の癒着を防ぎ、血流改善を促します。 • 正しいフォームが重要なため、理学療法士指導下で行うのが安全です。 ⑤ 感覚再教育 感覚低下がある場合、スポンジ・布・異なる素材で優しく刺激し、 脳と神経の再学習を促します。 ⑥ 生活動作指導 • 手首の過度な曲げ伸ばしを避ける • スマートフォンやパソコン使用の姿勢に注意 • 振動工具は必要最小限に • 夜間にしびれが強い場合は手首の固定を活用 ⸻ ◆予後について 軽度の圧迫性麻痺では 数週間〜数ヶ月で改善することが多い ですが、重度の圧迫・骨折合併・長期間の放置がある場合は回復に時間がかかることがあります。