骨粗鬆症は、骨密度が低下し骨がもろくなる病気です。骨折のリスクが高まるため、治療の目的は骨を強くし、骨折を予防することにあります。以下は、骨粗鬆症の治療における主な方法やポイントです。
1. 薬物療法
骨粗鬆症の治療の中心は薬物療法です。以下のような薬が用いられます。
骨吸収抑制薬
- ビスホスホネート
骨の分解を抑え、骨密度を高めます。内服薬(週1回や月1回)や注射薬(年1~2回)があり、長期間の使用で骨折リスクを大幅に減らします。
- 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
特に閉経後の女性に適しており、骨密度を高めながらホルモンバランスを調整します。
骨形成促進薬
- テリパラチド(副甲状腺ホルモン製剤)
骨形成を促進し、骨密度を増加させます。注射での治療(最大2年間)が一般的です。
- ロモソズマブ
骨形成を促しつつ骨吸収を抑える新しい薬剤です。特に骨折リスクが高い人に適しています。
その他の薬
- デノスマブ
破骨細胞の働きを抑え、骨密度を改善します。6カ月ごとの注射で管理されます。
2. 栄養療法
骨の健康を保つために、適切な栄養摂取が欠かせません。
カルシウム
- 推奨量は成人で600~800mg/日、高齢者では800~1000mg/日。
- 食品例:乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など。
ビタミンD
- カルシウムの吸収を助け、骨密度を向上させます。
- 食品例:魚(サケ、サバなど)、卵黄、きのこ類。
- 日光浴も有効で、1日15~30分程度の屋外活動を心がけましょう。
タンパク質
- 骨の構造を支えるために重要。
- 食品例:肉、魚、大豆、卵など。
3. 運動療法
適度な運動は骨密度を維持し、筋力を強化して転倒リスクを軽減します。
- ウォーキングや軽いジョギング:骨に適度な負荷をかけ、骨密度を高めます。
- 筋力トレーニング:特に太ももや背中の筋肉を鍛える運動は有効です。
- バランストレーニング:転倒防止のため、片足立ちやヨガ、ピラティスを取り入れるのもおすすめです。
4. 日常生活の注意点
- 転倒予防
自宅内の段差をなくし、滑りにくい床材を使用するなど環境を整備します。
- 禁煙・節酒
喫煙や過度のアルコール摂取は骨の健康に悪影響を与えるため避けましょう。
5. 骨折の予防
骨粗鬆症の治療の目的は「骨折を防ぐこと」です。以下の対策を取りましょう。
- 骨密度検査:定期的に検査を受け、治療効果を確認します。
- 骨折リスク評価:医師と相談し、特にリスクが高い部位(大腿骨や脊椎)を重点的にケアします。
6. 心理的サポート
骨粗鬆症は慢性的な疾患であり、特に骨折を経験した人は心理的な不安を抱えがちです。医師や家族と積極的にコミュニケーションを取り、前向きな治療を進めることが重要です。
骨粗鬆症の治療は、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせた長期的なアプローチが求められます。医師と相談しながら、適切な治療計画を立てて骨折のリスクを最小限に抑えることが大切です。