先天性股関節脱臼の予防|山田整形外科医院|埼玉県ふじみ野市の整形外科

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先天性股関節脱臼の予防

先天性股関節脱臼の予防

**先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)**は、赤ちゃんの股関節が不安定で脱臼しやすい状態、または脱臼している状態を指します。この病気は早期発見・治療が重要で、適切な育児方法やケアによって予防が可能です。以下では、先天性股関節脱臼の予防について具体的に解説します。

先天性股関節脱臼の原因

先天性股関節脱臼の原因は複合的であり、次のような要因が挙げられます:

1.遺伝的要因

家族に股関節脱臼の既往がある場合、発生リスクが高まります。

2.胎内環境

赤ちゃんの股関節は胎内で柔軟な状態で発育しますが、特に**骨盤位(逆子)**では関節に異常な圧力がかかりやすくなります。

3.育児方法

赤ちゃんの股関節に負担をかける抱き方やおむつの巻き方がリスクを高めることがあります。

予防方法

1. 正しい抱き方とおむつの使用

•赤ちゃんの股関節を自然な「M字開脚」の状態に保つことが重要です。

•赤ちゃんを抱っこする際は、膝を股関節より高い位置にし、両脚を開いた姿勢をキープします。

•抱っこ紐を使用する場合も、脚が自然に開いた姿勢を維持できるものを選びましょう。

•おむつを巻く際は、股関節を無理に閉じさせず、脚が自由に動ける状態を保ちます。

2. 健診の受診

•定期的な小児科健診は早期発見に繋がります。生後1か月、3~4か月健診では、股関節の開き具合や異常を確認します。

•発育が正常であるかを医師に確認することで、早期に対策が可能です。

3. 抱き方の工夫

•赤ちゃんの骨盤や股関節に負担をかけない抱き方を意識しましょう。

•腕で赤ちゃんの膝をしっかり支え、脚が自然に開いた状態で抱える。

•長時間片手で抱き続けることを避け、赤ちゃんの姿勢が偏らないようにします。

4. 不適切な育児方法を避ける

•脚を伸ばした状態にする方法を避ける

股関節を伸ばしたままの姿勢は、脱臼のリスクを高めます。赤ちゃんを寝かせるときやおむつ替えの際も、脚が自然に開く状態を意識しましょう。

•巻きすぎるおくるみはNG

脚を締め付けたり伸ばしたりするようなおくるみは、股関節脱臼の原因になります。おくるみを使う場合は、脚が自由に動かせる余裕を持たせます。

5. 骨盤位(逆子)に注意

•妊娠中に骨盤位と診断された場合、生後間もなく股関節の検査を受けることが推奨されます。

•出産前の胎児の姿勢を改善するために、医師の指導のもとで適切な体操や治療を行うことが役立つ場合もあります。

6. 股関節の柔軟性を高める動き

•生後数か月の赤ちゃんには、優しく股関節を動かす運動を取り入れるとよいでしょう。

•赤ちゃんの脚を軽く「自転車を漕ぐように」動かす。

•両脚を広げたり閉じたりする運動をする。

•無理に動かさず、あくまで優しく行うことが大切です。

早期発見と治療の重要性

•万が一、股関節脱臼が疑われる場合は、早期に専門医の診察を受けましょう。

•早期に治療を開始すれば、多くの場合は装具治療(リーメンビューゲルなど)で改善します。放置すると関節の変形や歩行障害の原因となるため注意が必要です。

まとめ

先天性股関節脱臼は、正しい抱き方やおむつの選び方、健診の受診を徹底することで予防が可能です。特に、赤ちゃんの自然な姿勢を尊重する育児方法を心掛けることが重要です。家庭での工夫に加え、定期的に医師に相談し、赤ちゃんの発育状態を確認することで健康な成長をサポートできます。