膝裏の腫れ-ベーカー嚢腫|山田整形外科医院|埼玉県ふじみ野市の整形外科

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膝裏の腫れ-ベーカー嚢腫

**ベーカー嚢腫(Bakerのう腫)**は、膝関節の後ろ側(膝窩部)にできる液体が溜まった嚢状の腫れのことを指します。別名で「膝窩嚢腫(しつかのうしゅ)」とも呼ばれ、関節液(滑液)が関節包の外に漏れ出し、袋状の構造を形成することで発生します。この状態は、特に膝に負担がかかる状況や関節の病気に関連して起こることが多いです。

主な原因

ベーカー嚢腫は、以下のような膝関節の異常が原因で発生することがあります。

1.関節炎

変形性膝関節症や関節リウマチなどの慢性的な炎症により、関節液が過剰に分泌されることがあります。これにより、滑液が膝窩部に溜まりやすくなります。

2.半月板損傷

膝の半月板が損傷すると関節液の産生が増加し、その一部がベーカー嚢腫を引き起こすことがあります。

3.外傷や過度の使用

膝のケガや長期間にわたる過剰な使用も、関節液の増加と嚢腫の形成に関連します。

症状

•膝の後ろ側の腫れ

膝窩部に腫れやしこりが生じます。大きくなると目視で確認できる場合もあります。

•痛みや違和感

腫瘍が周囲の組織や神経を圧迫することで、膝やふくらはぎに痛みを感じることがあります。

•膝の動きの制限

膝を曲げ伸ばしする際に突っ張り感や動きの制限を感じることがあります。

•嚢腫の破裂

まれに嚢腫が破裂すると、関節液がふくらはぎの組織に漏れ出し、急激な痛みや腫れを引き起こすことがあります。この場合、深部静脈血栓症と症状が似るため注意が必要です。

診断

診断には以下の方法が用いられます。

1.視診・触診

膝窩部の腫れを確認します。

2.画像検査

•超音波検査(エコー): 嚢腫の存在や大きさを確認します。

•MRI: 半月板損傷や関節内の異常を詳細に評価します。

治療

ベーカー嚢腫自体は無症状であれば特別な治療を必要としないことが多いですが、症状がある場合や原因となる疾患がある場合には以下の治療が行われます。

1.保存療法

•痛みを和らげるための休息や膝の圧迫。

•炎症を抑えるための消炎鎮痛剤や関節内ステロイド注射。

2.原因疾患の治療

変形性膝関節症や半月板損傷など、根本的な原因に対する治療を行います。

3.穿刺や排液

嚢腫から溜まった液体を針で抜き取ることがあります。ただし再発する可能性も高いです。

4.外科手術

嚢腫が大きく、痛みや運動制限が強い場合には手術で嚢腫を摘出することがあります。

予後

ベーカー嚢腫は自然に小さくなることもありますが、原因疾患が放置されると再発する可能性があります。定期的な診察や適切な治療が重要です。