ペルテス病|山田整形外科医院|埼玉県ふじみ野市の整形外科

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ペルテス病

ペルテス病のリハビリ治療

ペルテス病(大腿骨頭壊死症)は、主に5~10歳の成長期の子どもに発生し、大腿骨頭(太ももの骨の先端)が血流不足によって壊死し、変形を起こす疾患です。股関節の痛みや可動域制限が特徴で、適切な治療とリハビリを行わない場合、将来的に関節炎のリスクが高まります。リハビリ治療は、股関節の正常な発育と機能回復をサポートし、症状の悪化を防ぐために重要です。

1. リハビリ治療の目的

•股関節の痛みや炎症の緩和

•股関節の可動域(ROM)維持および改善

•筋力強化と関節の安定性向上

•大腿骨頭の正しい位置を維持

•歩行機能の改善と日常生活への適応

2. リハビリ治療の流れ

① 急性期(炎症や痛みの強い時期)

この時期には、痛みを緩和し、患部を保護することが最優先となります。

•安静の確保

痛みがある間は、股関節への負担を最小限に抑えます。松葉杖や車椅子を利用する場合もあります。

•アイシング

患部の炎症を抑えるため、股関節周辺を1日2~3回、15~20分程度冷却します。

•軽いストレッチ

痛みがない範囲で、股関節周囲の柔軟性を保つストレッチを行います。

② 回復期(炎症が軽減した時期)

この段階では、可動域を広げ、筋力を回復させるリハビリが中心となります。

•可動域改善運動

股関節の柔軟性を保つための運動を行います。

•振り子運動: 足をぶら下げた状態で軽く前後に動かす。

•股関節の回転運動: 痛みがない範囲で、股関節を内外に回す運動を行います。

•筋力強化運動

•大腿四頭筋、ハムストリングス、中殿筋を鍛えることで、股関節への負担を軽減します。

•等尺性運動: 股関節を動かさずに筋肉を緊張させる運動(例:仰向けで足をまっすぐ伸ばし、膝を軽く押し付ける)。

•低負荷運動: 水中運動やセラバンドを使用した軽い抵抗運動が効果的です。

•体幹の安定性トレーニング

股関節の安定性を高めるために、体幹(コア)を鍛える運動を取り入れます。

③ 機能回復期(歩行の再開と日常生活復帰の時期)

歩行機能を改善し、日常生活への適応を進めるためのトレーニングを行います。

•動作練習

•歩行練習:松葉杖や装具を使いながら、正しい歩行パターンを学びます。

•正しい姿勢を維持し、股関節への負担を減らします。

•バランス訓練

•片足立ちやバランスボードを使用したトレーニングを通じて、股関節の安定性と筋力を向上させます。

•スポーツ活動への復帰

スポーツに復帰する場合は、走る・跳ぶ動作の再訓練を行い、段階的に負荷を増やします。

3. 物理療法の活用

•温熱療法

筋肉の緊張をほぐし、血流を促進します。リハビリ運動の前に行うと効果的です。

•超音波療法

組織の回復を促進し、痛みを軽減します。

•電気刺激療法(EMS)

筋肉を刺激して筋力の回復をサポートします。

4. 家庭でのセルフケアと予防

•運動習慣の継続

リハビリで行った運動を日常生活にも取り入れることで、股関節の機能を維持します。

•適切な体重管理

体重増加による股関節への負担を防ぐため、バランスの良い食事と適度な運動を心掛けます。

•活動制限

症状が完全に治るまで、過度な運動やスポーツ活動を控えることが重要です。

5. 注意点

•症状の進行を防ぐため、痛みが再発した場合は速やかに医師や理学療法士に相談することが必要です。

•適切な治療とリハビリを行わないと、大腿骨頭の変形が進行し、将来的に股関節症へと発展する可能性があります。

まとめ

ペルテス病のリハビリ治療は、痛みの管理、股関節の機能回復、筋力強化を段階的に進めることが基本です。急性期の安静を経て、可動域改善運動や筋力強化を行い、最終的に日常生活やスポーツへの復帰を目指します。専門家と連携し、子どもの成長と個々の症状に合わせたリハビリプランを立てることで、長期的な機能回復と再発予防が可能になります。