脛骨顆間隆起骨折のリハビリ治療
脛骨顆間隆起骨折は、膝関節の中心部分にある脛骨顆間隆起(前十字靭帯が付着する部位)が損傷する骨折です。この骨折は主に若年層のスポーツ中や交通事故などで発生することが多いです。治療後には適切なリハビリが重要であり、膝関節の機能を回復し、再びスポーツや日常生活を安全に送るための基盤を築くことを目的とします。
リハビリの流れとポイント
リハビリ治療は、骨の治癒状況や手術の有無、患者の体力・活動レベルに応じて段階的に進めます。以下にリハビリの一般的な流れを示します。
1. 急性期(~4週間)
この期間は、骨の治癒を促進しつつ、患部の炎症や痛みを抑えることが目的です。
•目標:
•腫れや痛みを軽減
•膝関節の軽い可動域を維持
•筋力の低下を予防
•リハビリ内容:
•アイシング: 腫れや炎症を抑えるために行います。
•関節可動域訓練: 医師や理学療法士の指導のもと、膝の屈曲・伸展を無理のない範囲で行います(通常は屈曲90度程度を目標)。
•筋力トレーニング: 大腿四頭筋やハムストリングスを対象に、等尺性運動(筋肉を収縮させるが関節を動かさない運動)を行います。
2. 回復期(4~8週間)
骨がある程度癒合し始め、膝関節の可動域や筋力を徐々に取り戻していく段階です。
•目標:
•膝関節の可動域を正常に近づける
•筋力を向上させ、歩行を安定させる
•日常生活への復帰
•リハビリ内容:
•関節可動域訓練: 屈曲・伸展の可動域を広げるエクササイズを継続します。
•筋力トレーニング: ゴムチューブや軽い重りを使った運動で、大腿四頭筋やハムストリングスを強化します。
•バランストレーニング: 片足立ちやバランスボードを使い、膝周囲の安定性を向上させます。
•歩行練習: 装具や杖を使いながら、正しい歩行パターンを練習します。
3. 強化期(8~12週間以降)
骨がしっかり癒合し、日常生活への復帰に加えてスポーツ活動再開を目指す段階です。
•目標:
•筋力と持久力をさらに向上
•膝関節の安定性を高める
•スポーツや趣味への復帰
•リハビリ内容:
•負荷を増やした筋力トレーニング: スクワットやランジなどの自重運動、徐々に重りを増やすトレーニング。
•ジャンプ・ランニングの練習: スポーツ復帰を視野に入れた動作トレーニング。
•プロプライオセプション(固有受容感覚)トレーニング: 膝関節の位置感覚を改善し、怪我の再発を防ぐトレーニング。
注意点
•無理をしない: 痛みや腫れが増加する場合は運動を中止し、医師や理学療法士に相談してください。
•医師の指示を守る: 骨の癒合状況に応じてリハビリの内容を調整することが必要です。
•長期的な視点を持つ: リハビリには数か月単位の時間が必要です。焦らず着実に進めましょう。
脛骨顆間隆起骨折のリハビリは、適切な計画と専門家の指導のもとで行うことが重要です。リハビリを根気強く続けることで、膝関節の機能を完全に回復させ、再びスポーツや日常生活に復帰できる可能性が高まります。