ACL損傷のリハビリ|山田整形外科医院|埼玉県ふじみ野市の整形外科

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ACL損傷のリハビリ

ACL(前十字靭帯)損傷のリハビリ治療

ACL(前十字靭帯)損傷は、スポーツや事故によって膝が過剰に伸展・回旋されることで起こる怪我です。治療法には保存療法(手術を行わない)と手術療法がありますが、いずれの場合も適切なリハビリが膝の機能回復や再発防止に不可欠です。リハビリは段階的に進め、膝の安定性、筋力、柔軟性、そして運動パフォーマンスを取り戻すことを目的とします。

リハビリの目標と段階

1. 急性期(損傷直後~2週間)

目的: 痛みや腫れを抑え、膝の可動域を維持する。

•アイシング: 腫れや炎症を抑えるため、1日に数回、10~20分間行います。

•膝の安静: 過度な動きを避け、装具や松葉杖を使用して膝を保護します。

•軽い可動域訓練: 医師の許可が出た範囲で膝を曲げ伸ばしします(伸展が特に重要)。

•筋力維持訓練: 太ももの前面(大腿四頭筋)を鍛える等尺性運動(膝を動かさずに筋肉を収縮させる運動)を行います。

2. 回復初期(2~6週間)

目的: 膝の可動域を回復し、筋力を取り戻す。

•可動域の拡大: ストレッチや軽いエクササイズで膝の曲げ伸ばしを徐々に広げます。

•筋力トレーニング:

•大腿四頭筋やハムストリングス(太ももの裏側)を鍛える。

•直線的な動きで膝に負担をかけない運動を行います。例:直脚挙上(膝を伸ばしたまま足を持ち上げる)。

•バランストレーニング: 片足立ちやバランスボードを使い、膝周辺の安定性を強化します。

3. 回復中期(6~12週間)

目的: 膝の安定性と筋力をさらに向上させ、日常生活に復帰する。

•負荷を増やす筋力トレーニング: ゴムチューブや軽いウエイトを使ったエクササイズを行います。

•日常的な動作の練習: 装具をつけての歩行や階段昇降の練習を開始します。

•固有受容感覚(バランス感覚)トレーニング: 膝関節の位置感覚を鍛えるトレーニングを行い、再発防止を目指します。

4. 強化期(3~6か月)

目的: 高強度の動きやスポーツ復帰に備える。

•動的トレーニング: スクワット、ランジなどの全身を使ったトレーニングで筋力を強化します。

•スポーツ特化型の動作練習: ランニング、方向転換、ジャンプ動作の練習を行い、パフォーマンスを向上させます。

•リターン・トゥ・スポーツ(スポーツ復帰): 6か月以降、医師や理学療法士の判断のもとでスポーツ活動を再開します。

リハビリの注意点

•痛みを無視しない: 無理な運動は炎症を悪化させる可能性があります。痛みが出た場合はすぐに中止し、専門家に相談しましょう。

•正しいフォームを意識: 特に筋力トレーニングや動作練習では、膝に負担をかけない正しいフォームを身につけることが重要です。

•専門家の指導を受ける: 医師や理学療法士のアドバイスに従い、リハビリ計画を進めてください。

ACL損傷のリハビリは数か月から1年近くかかる場合もありますが、適切なリハビリを行うことで膝の安定性を取り戻し、スポーツや日常生活への完全復帰が可能です。焦らず着実に取り組むことが成功の鍵です。