子供の斜頸 環軸椎回旋固定|山田整形外科医院|埼玉県ふじみ野市の整形外科

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子供の斜頸 環軸椎回旋固定

小児の環軸椎回旋固定(AARF)のリハビリテーション 1. 環軸椎回旋固定(Atlantoaxial Rotatory Fixation, AARF)とは? 小児の環軸椎回旋固定(AARF)は、第1頸椎(環椎)と第2頸椎(軸椎)が異常な回旋位で固定される病態です。特に**上気道感染後(Grisel症候群)**や軽微な外傷後に発生しやすく、急性斜頸(首の傾き)と回旋制限を特徴とします。小児は靭帯が柔らかく関節の可動性が高いため、成人より発症しやすいとされています。 ⸻ 2. 治療の流れとリハビリの役割 AARFの治療は保存療法が基本ですが、重症例では手術が必要になることもあります。リハビリは回旋固定の解除後に開始され、首の可動域回復、筋力強化、再発予防を目的とします。 ⸻ 3. リハビリテーションの段階 ① 急性期(診断直後・保存療法開始時) 目的:疼痛管理と頸椎の安静確保 • 装具療法(頸椎カラー・Halo固定など) • 軽症例ではカラー固定(1~2週間)を行い、痛みの軽減と回旋位の改善を図る。 • 重症例や再発例ではHalo固定が必要になることもある。 • 疼痛管理 • アイシング(炎症が強い場合)または温熱療法(筋緊張緩和)を選択。 • 消炎鎮痛剤(NSAIDsなど)を併用。 • 全身運動の維持 • 長期間の頸部固定により、筋力低下や廃用症候群を防ぐため、四肢の運動や呼吸訓練を実施。 ⸻ ② 亜急性期(装具除去後・可動域訓練開始) 目的:可動域(ROM)の回復と筋緊張の改善 • 頸椎の可動域訓練(ROM訓練) • 他動運動(P-ROM):理学療法士が慎重に可動域を広げる。 • 自動介助運動(A-AROM):痛みが軽減したら、患者自身が軽く首を動かす練習を開始。 • 筋緊張の調整 • ストレッチや温熱療法を活用し、首や肩の過緊張を緩和。 • 肩甲骨周囲のマッサージで筋の柔軟性を向上。 • 姿勢矯正指導 • AARFでは不適切な姿勢が癖になりやすいため、頸椎のアライメントを意識した座り方や立ち方を指導。 ⸻ ③ 回復期(筋力強化・再発予防) 目的:頸椎の安定性向上と運動機能の正常化 • 等尺性運動(アイソメトリックトレーニング) • 頸部の屈曲・伸展・側屈・回旋の抵抗運動(軽い負荷で開始)。 • 過度な負荷は避け、痛みのない範囲で強度を徐々に上げる。 • 肩甲帯と体幹の強化 • 肩甲骨周囲筋(僧帽筋、菱形筋、前鋸筋)の強化。 • **体幹トレーニング(プランク、ドローインなど)**で姿勢を安定化。 • バランス訓練 • 頸椎の安定性を高めるため、全身のバランス能力を向上させる運動を実施。 • スポーツ復帰への準備 • 軽度のジョギングやストレッチを取り入れ、スポーツ復帰をサポート。 ⸻ 4. 退院後・家庭でのリハビリ指導 • 無理な首の動きや急な回旋動作を避ける。 • 適切な枕や寝具を使用し、首に負担をかけない環境を整える。 • 長時間のうつむき姿勢を避ける(スマートフォン・タブレットの使用に注意)。 • 定期的なストレッチと軽い運動を継続し、可動域と筋力を維持。 • 再発の兆候(首の違和感や動かしにくさ)があれば、早めに医師に相談。 ⸻ 5. まとめ 小児の環軸椎回旋固定(AARF)におけるリハビリは、段階的に慎重に進める必要があります。急性期では頸椎の安静を保ちつつ痛みを管理し、亜急性期では可動域の回復、回復期には頸部の安定性向上を目指します。適切な姿勢や日常生活の指導を通じて、再発を防ぎながら安全な回復を促しましょう。