後縦靭帯骨化症とは
OPLL(後縦靭帯骨化症)の病態と経過、リハビリ治療
1. OPLLの病態と経過
後縦靭帯骨化症(OPLL: Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament)は、脊椎の後縦靭帯が骨化し、脊髄や神経根を圧迫する疾患です。特に頸椎に発生することが多く、進行すると四肢のしびれや筋力低下、歩行障害を引き起こします。
(1) 病態
OPLLの原因は明確には解明されていませんが、以下の要因が関与すると考えられています。
• 遺伝的要因:家族内発症が多く、遺伝的素因が示唆されている。
• 加齢:中高年に多くみられる。
• 糖尿病との関連:糖尿病患者での発症率が高い。
• メカニカルストレス:頸椎への長期的な負担が骨化を促進する可能性がある。
骨化した靭帯が徐々に大きくなると、脊髄や神経根を圧迫し、神経症状を引き起こします。
(2) 経過
OPLLの進行は個人差が大きいですが、一般的には以下の経過をたどります。
1. 無症状期:骨化があっても症状が出ない場合もある。
2. 初期症状期:軽度のしびれや違和感を感じる。
3. 進行期:手指の巧緻運動障害、下肢の痙性麻痺、歩行困難が現れる。
4. 重症期:膀胱直腸障害が生じ、日常生活が困難になる。
OPLLは進行性の疾患であり、特に頸椎の場合、転倒などの軽微な外傷が急激な神経症状の悪化を招くことがあります。
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2. OPLLのリハビリ治療
OPLLの治療には、保存療法(リハビリ・薬物療法)と手術療法があります。軽度の場合はリハビリが中心となり、重症化した場合には手術が考慮されます。
(1) 保存療法としてのリハビリ
リハビリの目的は、症状の進行を抑え、筋力を維持し、日常生活動作(ADL)の向上を図ることです。
① 姿勢指導と日常生活の工夫
• 首に過度な負担をかけない:長時間の前屈姿勢を避け、枕の高さを調整する。
• 転倒予防:頸椎OPLLでは転倒が重篤な神経症状を引き起こすため、バランス能力の向上が重要。
② ストレッチと可動域訓練
• 首・肩周囲のストレッチ:無理のない範囲で筋肉をほぐし、血流を改善する。
• 頸部の過度な動きは避ける:無理な頸椎の伸展・回旋は神経症状を悪化させる可能性がある。
③ 筋力トレーニング
• 頸部・体幹の安定性向上:頸椎を支える筋肉(頸部伸筋群、僧帽筋)や体幹筋(腹筋・背筋)を鍛える。
• 下肢の筋力維持:歩行障害を予防するため、大腿四頭筋や腓腹筋を鍛える。
④ 神経・感覚トレーニング
• バランストレーニング:片足立ち、つま先立ちなどで転倒防止能力を高める。
• 巧緻運動訓練:指の動きが悪くなるため、ボールをつかむ動作や箸を使う練習を行う。
(2) リハビリの注意点
• 症状が悪化しない範囲で行う:強すぎるストレッチや負荷の高い運動は避ける。
• 痛みやしびれが増す場合は中止し、医師に相談する。
• 定期的な診察を受ける:OPLLは進行する可能性があるため、リハビリの効果を確認しながら適宜調整する。
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3. まとめ
OPLLは後縦靭帯が骨化し、脊髄を圧迫する進行性の疾患です。リハビリ治療では、症状の進行を遅らせ、筋力を維持し、日常生活の質を向上させることを目的とします。適切な姿勢の維持、ストレッチや筋力トレーニングを取り入れ、転倒を予防することが重要です。症状が進行する場合は、手術治療が必要になることもあるため、定期的な診察を受けながら適切な管理を行うことが推奨されます。