腰椎すべり症
腰椎すべり症:病態と経過、リハビリ治療について
腰椎すべり症は、腰椎(腰の骨)の一部が前方や後方にずれてしまう病気で、脊椎の配列が乱れることによって神経が圧迫され、腰痛や下肢のしびれ、歩行困難などを引き起こすことがあります。すべり症には大きく分けて「変性すべり症」と「分離すべり症」の2つがあります。
病態と経過
変性すべり症は主に中高年の女性に多く、加齢により椎間板や靭帯が弱くなり、椎骨が前方にずれることで発症します。一方、分離すべり症はスポーツや成長期の過度な運動などが原因で、椎弓という部分にひび(疲労骨折)が入り、椎骨が不安定になることで起こります。進行すると神経が圧迫されて坐骨神経痛や間欠性跛行(一定距離歩くと足に痛みやしびれが出て休まないと歩けない症状)などが現れることがあります。
リハビリ治療
リハビリでは、まず症状の緩和を目的とした物理療法(温熱療法、電気治療など)を行い、筋肉の緊張を和らげます。その後、体幹の安定性を高めるために腰部や腹部の筋肉を鍛えるトレーニング(体幹トレーニング)を取り入れます。特に腹横筋や多裂筋といった深層筋の強化は、腰椎の安定性を高めるうえで重要です。また、姿勢の改善や日常生活動作の指導を通じて、再発の予防も図ります。
リハビリ治療は継続的に行うことが大切で、急性期の痛みが落ち着いた後も、中長期的な視点での運動療法が求められます。必要に応じて装具の使用や、痛みが強い場合は薬物療法や神経ブロック注射などを併用することもあります。リハビリは、症状の程度や患者さんの年齢・体力に応じて個別にプログラムを組むことが重要です。
腰椎すべり症は適切な治療とリハビリによって多くの場合症状の改善が期待できます。早期に専門医に相談し、無理のない範囲での運動と生活習慣の見直しを行うことが、症状の進行を防ぎ、快適な日常生活を取り戻す鍵となります。