子供のバネ指
子どもの**バネ指(弾発指)**について、「腱の肥厚」に注目した病態とリハビリ治療を詳しくご説明します。
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■ 病態:腱の肥厚によるバネ指
1. 基本的なメカニズム
バネ指は、**指を曲げる腱(屈筋腱)**が腱鞘と呼ばれるトンネル構造の中を滑らかに動けなくなる状態です。
通常、腱は腱鞘の中をスムーズに動きますが、
• 腱自体が肥厚(太くなる)
• または腱鞘が狭くなる・硬くなる
ことにより、腱が腱鞘に引っかかるようになります。
2. 子どもに特有の点
• 主に 1〜3歳頃に発症し、ほとんどは**親指(母指)**に起こります。
• 原因は腱の肥厚であることが多く、大人のバネ指のように腱鞘の炎症が主因ではありません。
• 指の根元(MP関節の近く)で、腱が膨らみ引っかかることで、指が曲がったまま伸びなくなります。
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■ リハビリ治療(保存療法)
子どものバネ指は、痛みが少なく、自然治癒するケースもあるため、まずは保存的治療から開始します。
1. 温罨法(温める)
• 温めて腱や腱鞘を柔らかくし、腱の滑走を促す
• 蒸しタオルや温湿布を使い、1日1〜2回、5〜10分程度
2. ストレッチ・他動運動
• ゆっくりと指を伸ばしたり曲げたりして、腱の動きをサポート
• 痛みがない範囲で、親がやさしく指を動かしてあげる
• 毎日少しずつ継続(無理に「カクン」とさせない)
3. スプリント固定(場合によって)
• 夜間などに装具(スプリント)で親指を伸展位に保持
• 炎症や腱の肥厚を抑える目的で短期間使うことがあります
4. 経過観察
• 多くは数ヶ月で自然に改善するため、定期的に整形外科で経過を診てもらいながら、リハビリを継続
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■ 手術適応の目安
保存療法で以下の状態が 3〜6か月以上続く場合は手術も検討されます:
• 指が伸びない、強く引っかかる
• リハビリに反応しない
• 日常生活に支障がある
※手術は A1プーリー切開術という短時間の日帰り手術で、多くの症例で良好な結果が得られます。
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ご家庭でのポイント:
• 無理に指を伸ばさないこと
• 指を観察し、違和感が続く場合は整形外科に相談すること
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ご希望があれば、ご家庭でできる具体的なリハビリメニューもお伝えできます。お気軽にどうぞ。